2008年08月12日
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まさに原作ファン限定アニメ!? ~白き翼 ALA ALBA~・第一話『ネギま部(仮)増殖中♥』感想

Written By: 川俣 晶連絡先

 というわけで、ネギま!23巻限定版付属の魔法先生ネギま!~白き翼 ALA ALBA~第一話『ネギま部(仮)増殖中♥』の感想です。

入手タイミング §

 発売日は今日ですが、昨日の夜に予約した本屋から届いたという連絡がありました。おそらく、前日夜のフライング・ゲットは問題なく可能だったのだろうと思います。実際に入手したのは今日になってからですが。

まさに原作ファン限定 §

 まさに原作ファン限定アニメ (笑)。

 本題の物語に入る前提となる部分が、ストーリーダイジェストとして流れますが、何の説明も無し。まさに、アニメと実写ドラマのネギま!(?)を全部見た人でもついて行けない世界です。原作ファン限定。

 もちろん、これは褒め言葉です。いつまでも、吸血鬼が出たとか、幽霊が出たとか、そんな話ばかり延々と繰り返されてもねぇ、というぼやきに対する決定的な解答なのでしょう。

呪文 §

 呪文は、日本語とラテン語の同時詠唱です。この方針は正しいと思います。ただ、ラテン語が背景に落ちて日本語が前面に出てくるのは違和感がありました。実際、コミックを読んで馴染んだことで想定される「音」は「きたれ」ではなく「アデアット」。「ささきまきえ」ではなく「ササキエ・マキエー」なのですよね。

明日菜の目 §

 明日菜の目は色が左右違っていますが、この色違いが誇張されないのは良かったと思います。

違和感 §

 ネギとエヴァの会話を横で聞いている千雨。最後に違和感のある顔を見せるカットがありますが、これは新しいシーンへのつなぎ的な演出しかされていません。本当なら、もっと違和感を強調する効果音などを入れて良いところだと思います。

天地分断掌 §

 天地分断掌は、足払いとあごに対する掌底(という表現で良いのか?)を同時に行うことで、相手の身体を回転させつつ宙に浮かす技と見えました。(足場の無い空中に浮かされると、身体の動きの自由度が限定され、防御や反撃がやりにくくなる……のかもしれない)

 しかし、アニメだと足払いの要素が無いように見えました。

総合的な感想 §

 過去のネギま!アニメと比較すれば、格段に良くなっていると思います。

 しかし、原作の凄みには追いつけていない感じがあります。

 お祭りはノリだと思うので、出来の如何に関わらず24巻、25巻も限定版を買いますから、この間に何かしら新しいものを掴んで何かを見せて欲しいと期待します。

追記 §

 最初の1回はPCの小さな窓で見たので、印象が悪かったのかと思い、後で普段アニメを見ている環境で見直しました。といっても、17インチのワイド液晶TVモニタとPS2でしかありませんけどね。でも、ケーブルだけはD端子ケーブル。

 しかし、見てもあまり印象は変わりませんでした。というよりも、もっと悪くなったかも。

 たぶん今回のアニメはゼロからの出発ですらなく、マイナスからの出発になったハンデが大きすぎるのかも。マイナスというのは、スタッフが常識として持つ「ネギま!」像が原作からかけ離れすぎているにも関わらず、分かっていないことにあまり自覚的ではないことを意味します。

 もう1つ気になるのは、ネギま!を萌えアニメとして作ろうとする傾向が感じられること。萌えアニメの方法論というのは、限定された少数のオタクマーケットに特化したやり方であって、もっと幅広いファン層を持つネギま!には合わないような気がします。ネギま!に似合うのは、たとえばNARUTOや名探偵コナンのようなゴールデンタイムのアニメの作り方だと思います。予算が足りない? 人材が確保できない? そういう問題ではなく、作品が見据える理想像の問題です。

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